別ミルメのブログ

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Journal de Tokyo

今回は音楽のレコメンド。

 

 

 

『Journal de Tokyo』

ユウコ・ネクサス6

Journal de Tokyo

Journal de Tokyo

便宜上の楽器然としたもので構成された音楽という要素はこの作品ではほぼ扱われていない。

では、何が音として採用されているか。

電子音楽的なサウンドの断片。

街の音、車の音、虫の音。

歌唱ではない、フランス語や日本語による朗読。

テープレコーダーの再生時に出るキュルキュルといった音そのもの。

踊れるビートや美しいメロディはこの作品では積極的には表れない。

構成のアウトライン、大枠としてはミュージックコンクレートとして捉えるのがいいかなと。

上記の要素が全23トラックに数分ずつ交互に層をなしてパッケージされている。

やや忙しく入れ替わる音の要素はゆったりとしたコラージュ。

《クリスチャン・マークレー》の作品に少し似ているような。

《内田百閒》の文学作品の朗読が当作品の核として大きく存在感を成す。

日本のレトロな情景を活写した物語。

時折音響処理で一人の朗読が二重写しになったように聴こえる箇所があるのだが、この強輪郭は是非にも体感していただきたい。

メロディもビートも持ち出さない言葉本来の音楽性を堪能できる。

 

 

 

ここ最近購入したCDで一番大きく世界を開かれた作品だった。

愛聴盤になりそう。

作曲されたラジオのような。