スリーピング・ビューティー 広島市現代美術館
今回は私が行った美術展の感想やレコメンドなどを。
《広島市現代美術館》で2014年5月17日(土)~7月21日(月)の期間開催されている『SLEEPING BEAUTY』展に行ってきた。
詳細は公式ページにて確認を。
下記リンク。
広島市現代美術館トップページ
http://www.hiroshima-moca.jp/index.html
スリーピング・ビューティー 特設ウェブサイト
http://www.hiroshima-moca.jp/sleeping_beauty/
展示のコンセプトは“身体性にまつわる表現をとおして現代美術における「美」の諸相を考察”なのだとか。
私は美術、芸術、アートそれらには“美”しか(基本的には)求めていないのでピッタリの企画であった。
建物、展示室自体も含めて全体的に満足出来る内容だった。
ここからは私が気に入った、気になった作品それぞれについて個別に感想などを書いていこうかなと思う。
『ブルーのヴィーナス』
《イヴ・クライン》
本展のチラシなどでメインに大きく推されていた作品。
トルソーがイヴ・クライン特有の色彩インターナショナルクラインブルー(IKB)を纏っている。
鮮烈で深い青を持つこのトルソーに会うために来たといっても間違いではない。
それ位惹かれるものがあった。
この色に覆われた肉体はミニマルさを強く感じさせる。
表面の隆起を目でなぞりながら長時間眺め続けていた……。
是非とも引き取って一緒に暮らしたい。
美しい。
広島市現代美術館所蔵なのでまた別の機会にも当館で遭遇できるチャンスがあるかも知れないと思うと嬉しい。
『ダブル・エッジド・オヴ・ソウト(ドレス2)』
《小谷元彦》
毛髪で編まれたドレス。
遠目で全景を眺めると気づきにくいのだが、近づいて細部を凝視するとその素材(毛髪)
であることが分かる。
女性が髪の毛を編んで髪型を作り上げるように、その技巧を服にまで適用させた。
毛皮の変種のようでもある。
実際プリミティブなテクスチャーがそこにはあった。
『空間概念』
《ルーチョ・フォンタナ》
肌色系の平面に、裂かれるようにひとつの切れ目が縦方向に走る。
皮膚を想起させるその色に切れ目が走っていることがもたらす暗示。
肉体の解体、または性的な……。
『ドレス』
《コム・デ・ギャルソン》/《川久保玲》
“身体の美”をテーマとした場に服飾が展示されていることの良さ。
身体と最も近い関係のアイテム。
織りあうように。
『無題(親愛なるマーゴ)』
《ダン・フレイヴィン》
黄色い蛍光灯が3本、ピンクの蛍光灯が3本、縦方向に壁に集まって立っている。
天井ではない。
3本×2色の極めて工業的な光が淡々と空間を照らす。
実生活での光との差異としては、6本もの蛍光灯がわざわざ密着して壁際でカラフルな色を発している奇妙さ。
余計に“明るさ”というものをアピールされているような。
光源には無条件的に意識と視線を取られてしまう。
『無題』
《ドナルド・ジャッド》
無機質で横広い箱状のものが壁に縦方向に10個並んでいる。
それぞれ同様の見た目で違いは見受けられない。
(それ10個で)人の身長の1.5~2倍くらいの丈。
制作のコンセプトなどが不勉強で分からなかったので、その造形的な美をしげしげと眺めていた……。
コンパクトなフォルムのものが規則正しく連続しているだけで特別な興味が湧いてくる。
上記のダン・フレイヴィンの作品とこちらが隣接していたので、この2作品でインダストリアルでミニマルでシュールな空間が生み出されていた。
『ドゥインガーの肖像』
人物(女性?)が“写真のよう”なタッチで描かれている。
超精巧に写し取るというよりは、写真的なリアリズムというよりは、“描かれたもの”であるといったそれらの少し前あたりで止められている感じがかえって面白い。
ここに転写されたものの精度とは。
その距離が思考を巡らせる材料となる。
作品の写真も併せて紹介したかったが、館内は撮影不可なので文章のみで分かりにくいかと思うが、好きだった作品はこういった感じで。