別ミルメのブログ

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無限反射するディスク・ガイド [4]

無限反射するディスク・ガイド、パート4。

最近聴いた音楽のレコメンドを。

 

 

 

マシュー・ハーバート

『One Club』

One Club

One Club

とあるクラブでのあらゆる音を音素材としてサンプリングし、それらを解体再編集して新しく音楽を作ってみたという大変コンセプチュアルな作品。

この作品に限らず、《マシュー・ハーバート》はサンプリングという手法に作曲の主題を多く委ねている。

メロウな歌ものであったり、ジャジーなものであったり、湿度あるハウシーなものであったり。

当作品はミニマルで骨太、テクノまたはハウス的な展開で主に進行される。

かなり細切れにぐるぐる回る音の群れ。

その上を歓声や軽い合唱めいたボイスが流れてゆく。

元ネタのクラブの騒々しさは再加工しても失われていないのが面白い。

マシュー・ハーバート、素晴らしいエディットをなさる。

 

 

 

ナム・ジュン・パイク

『Works 1958-1979』

Works 1958

Works 1958

ビデオ・アートの父とも呼ばれる美術家、《ナム・ジュン・パイク》の音楽的活動をまとめた作品。

ビデオ・アートでの活動のみならず、意欲的にサウンド・アートなどの領域にもかかわっていた足跡を味わえる。

トラック・タイトルから、影響や交流のあった他のアーティストへのフィードバックがうかがえる。

ジョン・ケージ》、《マース・カニンガム》。

プリペアド・ピアノが静かに時を進行させるものや、東洋的な雰囲気が芳香する楽曲はジョン・ケージとの繋がりを。

あらゆる音素材がミュージック・コンクレート的に性急に積層していくものなども同様。

一転して、メロウなピアノが流れるのもまたしっとりと華美で快楽的。

実験的緊張とのコントラスト。

本作はジャケット、アートワークの美しさも個人的に気に入っている。

クールなモノクロに走るサウンド・ウェーブ的イメージ。

 

 

 

東京ザヴィヌルバッハ

『VOGUE AFRICA』

ヴォーグ・アフリカ

ヴォーグ・アフリカ

菊地成孔》さんが在籍していた時期の《東京ザヴィヌルバッハ》。

ベースであるリズム生成をシーケンサーが担い、それとセッション的に人間が音を乗せたり加工したりするのがメイン・コンセプトのユニット。

音楽的な便宜上の分類としては、ジャズ、フュージョン、ファンク、エレクトロニカあたりが思い浮かぶ。

原初的な大地の香りと、都市的な夜の雰囲気がマッチした場合に生まれる音楽。

アートワークとサウンドのニュアンスが上手く合致している。

ボコーダーを経たボイスや、女性のボイス・サンプルが流麗にトラック上を浮遊していく様が華やかさを加速させる。

ジャンル横断的というよりはジャンル溶融的。

傑作。