今回は音楽のレコメンド。
『snow, silence, partially sunny』
《Sachiko M》さんのサインウェーブと《坂本龍一》さんのピアノのセッション音源。
2011年の12月に山口県の《山口情報芸術センター(YCAM)》で行われたライブ演奏が収録されている。
この接触が初の共演なのだとか。
《大友良英》さん繋がりでもっと共演があったりしたのかななどと勝手に思ったり。
そういった意味でも貴重な一枚かもしれない。
コモンズからのリリース。
タイトルが示すように、そしてSachiko Mさんの存在が示すように非常に静かな展開と緊張感で終始満たされている。
1トラック、約38分。
坂本さんのピアノも抒情的にリリカルにというよりは、Sachiko Mさんに合わせたようなひたすら静寂を基軸に並走する。
しっかりと二者の色調が美しく合致したセッション盤。
38分という尺の中にも起承転結というか、展開がしっかりと静かながら芯を持って流れている。
先ずの序盤、無音の中を時折浮かぶSachiko Mさんのフラットなサインウェーブ。
そこに坂本さんはプリペアドピアノ的にピアノ内部の操作で打音を配してみたり。
映像的な資料などを参照していないので、音からの想像……。
弦を擦って空間的拡がりを生成したりも。
中盤になると鍵盤からのサスティンがカットされた短いタッチのピアノが間隔を空けて落とされる。
後半からは抑制を効かせつつも、これまでとは異なったメロウなフレーズが溢れ始める。
20分ほどモノクロめな展開だったので、よりコントラストが効いて美しく艶やかにそれが感じられる。
緩急の美。
終盤、エンディングにはSachiko Mさんのみの音になり、そのまま終局。
どこまで打ち合わせられていたのか不明だが、上記のような実に素晴らしい展開が楽しめる。
話によると、このCDは全国展開されておらず、山口情報芸術センター(YCAM)での直接購入のみに限られているのだとか。
立ち寄った際には是非とも購入していただきたい。
地味にレア盤。
2100円。
音の相性が良いお二人だと思うので、これからも継続してライブや音源制作をやっていただけたら。
二人のみのセッションではないが、最近リリースされたCDで、《ギャスパー・クラウス》のアルバム『序破急』で共演があった模様。
下記。
名盤なのでこちらもチェックを。
機会があれば改めてレコメンド記事を書きたい。