“糞袋”の内と外
今回はオススメの書籍を紹介。
『“糞袋”の内と外』
- 作者: 石黒浩
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/04/19
- メディア: 単行本
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工学博士である《石黒浩》さんのエッセイ。
綴られている内容の基となる話題は自身のTwitterでの発言からだそう。
Twitterでは文字入力数の制限があるなどの理由で書ききれなかった詰めた深い内容をこの書籍として加筆するような構成となっている。
今もTwitterは利用なさっているようなので、興味のある方はフォローしてみられては。
私は最近フォローをはじめたので、書籍で言及されている内容の原文的なものはリアルタイムで追えていないが、それでも全く問題なく本書を楽しむことが出来た。
ので、この本だけを読み、Twitterうんぬんは抜きにしても問題はないかなと。
さて、肝心の内容の詳細の紹介をこれから。
エッセイというよりは、「生とは何か」、「私とは何か」などといった存在を思考するようなやや哲学的な内容がメイン。
とはいってもかなり易しい文体や構成で書かれているので勉強的な意味合いは微塵もない。
個人的にはもう少し小難しめに書いていただいた方が嬉しいが。
生きるという、あまりにも普遍的な大枠の中を自己啓発書のように進んでゆく。
印象的な書籍タイトルの“糞袋”の内と外という言葉も人間(私)の内部と外部の事を表わしている。
やはり一番の読み応えのある個所は著者が本職として研究しているアンドロイド(人間酷似型ロボット)の話題。
人間が持つもの持たないもの、アンドロイドが持つもの持たないもの、これらの差異が人間と非人間の輪郭を象る。
人間がアンドロイドに代替されるとき。
アンドロイドが人間に代替されるとき。
比較し思考することでどちらの本質も浮かび上がってくる。
“私”も浮かび上がってくる。
次いで、研究者としての信念や情熱や哲学も大いに語られている。
研究は理性のみならず、情動もなければという言葉を強く秘めて行動されているとはアツい。
石黒さんの書籍は幾つか出版されているが、はじめに読む一冊としてはオススメかなあと。
アンドロイド研究、実験に関する突っ込んだ内容はやや薄いのでこの本を読んだ後により専門的な他の書籍に進むのがいいかも。
私はそうする予定。
ジェミノイドやテレノイドなど、色々なアンドロイドが人間社会にどう影響や変化をもたらすかにも興味があるし、何度も言うように人間との差異を認識することで“私”も再認識することが出来るかなと。