無限反射するディスク・ガイド、パート3。
新旧問わず、私がオススメする音楽を延々と紹介。
『ATAK006』

- アーティスト: 高橋悠治
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2005/07/13
- メディア: CD
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《渋谷慶一郎》さんのレーベル《ATAK》からリリースされた作品。
当作品はピアニストとしての高橋悠治さんの演奏は無く、電子音楽的側面からアタックされている。
一部トラックでは高橋さんご本人による美声の朗読も聴くことが出来る。
この朗読が重要なフックとして機能しているかなと。
主な時間的支配はミュージック・コンクレート的なサウンドの細かな積層で進行する。
わかりやすいメロディやビートは取り払われる。
それでも耳を傾けたくなる作曲とは。
加えて、音の鳴る位置も凝っているので、イヤホンで聴くとより楽しめるかなと。
マーク・フェル
『Multistability』

- アーティスト: Mark Fell
- 出版社/メーカー: Raster Music
- 発売日: 2010/12/07
- メディア: CD
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ビート、打音の鳴らす場所やタイミングがとかく奇妙。
通常ならばグルーヴが発生しないと思われるような編成で最初から最後まで鳴り続ける。
音色の選択がミニマムに構成されているのが相乗効果を獲得している。
モノトーンであるが華やか。
清潔な疑似混乱を運ぶ。
ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
『REPLICA』

- アーティスト: Oneohtrix Point Never
- 出版社/メーカー: Software
- 発売日: 2011/11/15
- メディア: CD
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ダンス・ビート主導でもメロディ主導でもない、空間的拡大を感じさせる轟音やそれに近い通奏音主導のトラックたち。
空間芸術としての特性が強い作品かなと。
アルバムのジャケットに描かれているドクロから連想されるような、メタルやメメント・モリ(=死を想え)的なサウンドは特に展開はされていない。
その不整合がまた面白かったり。
ダークさや煙さを感じさせるトラックもあれば、ピアノの旋律が美しく落とされたり、はたまたアンビエントめいた癒しがわかりやすく提示されるなどの、いい意味で捉え所のない幅広い表情がうかがえる。
故に何度聴いても楽しめる。
同一ボイス・サンプルの執拗な短期ループ連続がグルーヴを時折発生させるなどのフックも。
聴取環境としては個人的にはイヤホンではなく、スピーカーからの密室爆音で聴いていただきたい。
印象がかなり変わると思うので。
美しい音響作品。